福岡県

上には上(下?)がある。落差”2m”の『紫藤の滝』

世界一落差のある滝をご存知だろうか。ベネズエラにある『エンジェルフォール』で979mだそうだ。あまりに落下時間が長く、流れ落ちた水が途中で拡散してしまうため、滝壺がないことでも知られている。日本一は富山県の『称名滝』で、落差350m。ただしこちらは4段に分かれている。

一方で、世界一落差のない滝は今のところ空位のままだ。滝なのか、単に段差を流れ落ちる水なのか、厳密に線を引くための基準がないことが原因だと思われる。日本の「滝」は本来、早瀬や急流をさす言葉であり、英語で言うところのwaterfall、垂直落下式のものは「垂水」と呼んでいた。日本最小を名乗る滝は確かにあるものの、どちらかといえば旧来の意味であり、滝というよりは斜面に近い。


▲宗像の妙見の滝。

宗像市地域編集長が、6月13日の記事「宗像珍景・落差”4m”の『妙見の滝』」で、宗像市唯一にして最大の滝を紹介していた。なんと落差”4m”だそうだ。40mではない。名を『妙見の滝』という。妙見とは北斗七星のこと。すぐそばにある妙見神社で祈願すると、龍神が天に昇って北斗七星にその願いを届けるという言い伝えがあるそうだ。4mの滝から天に昇る龍神のサイズをイメージすると、そこはかとなく可笑しみがこみ上げてくるけれど、ヘタに笑うと天罰が下りそうなので口元を引き締めるべし。

それに筑紫野市の滝も負けてはいない(競う方が間違ってるような気がしないでもないけれど)。こちらでも何度か紹介している天拝山のふもと、藤寺として有名な武蔵寺のわきにある『紫藤の滝』だ。太宰府へと左遷された菅原道真が、天拝山に登って天に無実を訴える前に、この滝で身を清めたという伝説がある。落差は2m。妙見の滝のおよそ半分、エンジェルフォールの約489分の1だ。


▲落差2mは人がすっぽり収まって頭から水をかぶるのには最適な高さだ。高すぎると身を清めるというよりは「お滝行」になってしまう。マイナスイオンはあまり期待できないが、夏場はひんやりとして十分に厳かな空気が漂う。


▲滝つぼの横には、身を清める際に脱いだ衣を掛けた「衣掛けの岩」が立つ。現代人が洋服を引っ掛けるには大きすぎるけれど、平安貴族の装束を広げてかぶせておくなら、裾が地面につかない高さなのかもしれない。


▲滝のそばには「御自作天満宮」がある。由来は御神体である菅原道真が自分に似せて彫った、等身大の坐像にちなむ。


「長者の藤」裏のアジサイ。天拝山歴史自然公園のアジサイ園も今が見頃だ。ハイキングのついでに(ひょっとすると)世界一(かもしれない)の滝を見物してみてはいかがだろうか。

関連記事 菅原道真はなぜ山に登ったか

▼天台宗 武蔵寺
福岡県筑紫野市大字武蔵621(地図を表示する
JR二日市駅より徒歩15分
西鉄紫駅より徒歩15分
西鉄バス二日市温泉バス停より徒歩7分
駐車場あり

▼紫藤の滝
武蔵寺となりの「長者の藤」を奥に(地図を表示する

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