JR原田駅前の『Restaurant & Bar 二郎』は、落ち着いた雰囲気でゆったり飲める店と評判だ。お酒の多彩なラインナップはセールスポイントのひとつ。たとえメニューになくても、カクテルなどは頼めば作ってくれる。ギネスの生樽が置いてあるのも珍しい。カウンター席もあるので1人で来ても安心だ。
ただし、時間帯によっては違う一面をもつ。それがちょっとだけ、二郎さんの悩みでもある。
「最初は単純に楽しそうだと思ってバーを始めたんです」
お店を始める前は、ホテルの厨房で働いていた。二郎さんの料理の腕は折り紙付きだ。いつの頃からか、噂を聞きつけて食事目当ての客が集まり始め、今では美味しいピザとパスタが食べられる穴場店として認知されつつある。
「食べ物屋にする気はなかったんですよ」
それは複雑ですね。実際にやってみて、今は楽しいですか。
「大変です」
しかし、まんざらでもなさそうだ。
▲お酒のつまみにはこれ、パリパリした自家製生地のピザ・マルゲリータ(1200円) ピザの分量はすべて2〜3人前。
▲お腹が空いているなら、シーフードピザ(1400円)がおすすめ。味、大きさ、具のボリューム、どれをとっても申し分ない。
▲僕の一押し、クアトロフォルマッジ(1300円) 4種類のチーズを使ったピザは、客の好みに合わせてチーズの割合を変えてくれる。これができる店は本当に珍しい。
▲静かにリピーターを生んでいるカルボナーラ(800円) 僕の安いカメラでは、この美味しそうな感じが伝らない。悔しい。
▲タジン鍋(750円)は人気メニューのひとつ。シャキシャキ野菜に豚肉の旨味が染み渡る。
▲▼居酒屋並みに充実しているフードメニューは、二郎さんのサービス精神のあらわれでもある。これはメニュー表のほんの一部。要予約で飲み放題のコースもある。
遅い時間帯にはアルバイトを入れているけれど、食事客の集中しがちな前半戦は1人で切り盛りする。食べ物のオーダーが入ると、二郎さんの顔に緊張が走る。さっと背伸びをして店内を見回し、タイミングを見計らうように厨房へ滑り込む。コマネズミのよう、ではない。大わらわでもない。武道の型稽古のような、無駄のない身のこなしだ。
ただ、注文が立て込むと、どうしても1人では対応しきれなくなることがある。そんな時は、時間がかかる旨を先に伝えるそうだ。僕からもお願いする。取り込んでいる時に料理がなかなか届かなくても、それは大目にみてあげて欲しい。
「うちは基本、お酒を楽しんでもらう店なので・・・」
うつむき加減で、申し訳なさそうに口ごもった。大丈夫、お客さんには伝わってますよ。
▼こんなお酒まである。なにこれ、おいしいの?
「お客様の希望にはできるだけ添いたいんですが、どうしてもできないこともあって」
何か面白いエピソードはないかと問われて首を傾げていた二郎さんが、苦笑いしながら言った。
「このあいだ、ピザの右半分と左半分を別の味にしてくれって頼まれて、それはさすがにできませんでした」
ただし、本人はぜんぜん面白いと思っていなさそうだ。
カウンターで客の相手をしながらグラスを磨き、厨房と行き来しながら調理をし、常に目配り気配りを欠かさず、視線が合えば微笑み返しも忘れない。いつでも一生懸命な二郎さんが大好きだ(変な意味はないぞ)
▲「僕の写真はちょっと・・・」渋る二郎さんに無理を言って撮らせてもらった。すこし表情が固いかな。
▼Restaurant & Bar 二郎
福岡県筑紫野市原田6-5-10(地図を表示する)
092-926-9060
18時〜翌2時
火曜定休(不定休)
JR大牟田線原田駅前より徒歩1分
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