おでかけ

人と犬と猫と鳥と風と光と命と 板橋区・小豆沢墓苑

□飼い主が描いたイラストを彫り込んだ墓誌□

東京都板橋区小豆沢の霊園『小豆沢墓苑』を紹介する。
お花見や散策の場としてではなく、霊園そのものを地域トピックとして採り上げる理由。それは『小豆沢墓苑』が持つふたつの珍しい特色にある。

■特色1 人とペットが共に眠れるお墓
人間とペットの『命』を区別しない霊園である。
現在の墓埋法では、ペットの遺骨は単なる『産業廃棄物』とみなされている。悲しいことに、単なるゴミ扱いだ。ところが『小豆沢墓苑』は、一生を通して人間に無償の愛情を与えてくれたペットのそれを、人間の『命』と等しく受け止めてくれる。仏教にある「一切衆生悉有仏性」「山川草木悉皆仏性」の教えをそのまま表しているのだ。

■特色2 『屋内』と『開放感』の両立
『屋内墓所』。この言葉からどんな光景を想像するだろうか? 板橋区の地域編集長・タハラが最初にイメージしたのは、欧米の映画やドラマで見るようなロッカー式の安置施設。そしてもうひとつ、液晶モニターとタッチパネルが付いた、小型の立体駐車場のような『ハイテク墓(ぼ)』だ。
ところが実際に訪れた『小豆沢墓苑』は、どちらのイメージとも違う、爽やかな風が流れる施設だった。公園の豊かな緑に抱かれた、安らかで開放感のある『宙空の霊園』が、そこにあった。

▲4階(花野階)から小豆沢公園を臨む。これ、23区内の光景ですからね

▲同じ階で振り向いてみる。吹き抜ける風が気持ちよい

▲空撮……ではなく50分の1のミニチュア模型。躯体は堅牢だが、壁が極度に少ないことがわかる。

2010年の夏、東京は記録的な豪雨に見舞われた。このときの浸水が原因で閉店に追い込まれた店もあったほどだ。台風が過ぎた翌日、タハラは好奇心から『小豆沢墓苑』に向かった。「暴風雨が過ぎたあと、あの吹き抜けのフロアはどうなっているのか?」
エレベーターで4階に上がると、台風の爪痕ひとつない『平常の光景』があった。「緊急のときにはシャッターを下ろすから心配いりませんよ」と、職員の方が教えてくれた。「『小豆沢墓苑』、備え有り!」だ。

▲一般の建物の2フロア分はありそうなほど天井が高い

▲屋上(天空階)の六地蔵さま

▲斎場や会食室も充実している

部屋の設計と天井の高さの賜物だろうか。斎場ではお坊さんの読経の声がなんともよい響き方をして、ありがたみも倍増!

▲徒歩2分ほどの距離にある観光名所『薬師の泉庭園』

『小豆沢墓苑』は緑に囲まれている。地形が起伏に富んでいることもあって、しばらく留まっていると「ここ、ほんとに東京なの?」

▲墓苑の屋上階から見下ろせば正面は『セブンタウン小豆沢』

駐車場、スーパーストア、ホームセンター、飲食店、ユニクロ、無印良品、アカチャンホンポ……と、なんでも揃っている。お参り用の仏花も買える。

■職員の関田里美さんにうかがった

開苑は2004(平成16)年なので今年で11年目。霊園としては新しいほうだ。こちらの特徴をよく表しているのが「4割が他からのお引越しです」(関田さん)という点。改葬(お墓の引っ越し)はなかなかしづらいものだが、4割という数字が『小豆沢墓苑』の魅力の高さを表している。
町中にあるので交通の便もよく、室内墓所だから天候を気にせずにお参りができる。このメリットは大きい。じつはタハラの実家のお墓も改葬してこちらのお世話になっている。思い立ったときに天候を気にせずに行けるようになったので、お墓参りの回数がずいぶん増えた。

関田さんによると、墓苑のスタッフは分業制ではなく、申込みや案内から受付、法事の手配など、すべてを担当するそうだ。訪れるご家族とも自然と顔見知りとなり「おじいちゃんの姿が見えないけれどお体でも?」といった会話が生まれる。「気持ちのこもった『いつもお墓をきれいにしてくれてありがとう』といった言葉がとてもうれしい」とおっしゃっていた。
成人式には「天国のおじいちゃんに見てもらいたい」と、晴れ着姿のお嬢さんが何人も訪れたそうだ。

単なる儀式としての法事ではなく、心からの「お墓参り」ができる場所。それが『小豆沢墓苑』なのだ。

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『小豆沢墓苑』

ホームページ → こちら
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所在地:東京都板橋区小豆沢3-7-32
グーグルマップ → こちらのJ(大文字・ピンク)
最寄り駅:都営三田線『志村坂上』駅A4出口から徒歩約6分
電話:0120-447-594(フリーダイヤル)
開園時間:9時から17時(年末年始のみ10時から16時)
面積:2193.73平方メートル
施設:墓所区域、斎場(大・小)、会食室(大・小)、あずまや、休憩ロビー、管理事務所、駐車場、水場ほか
※宗教・宗派不問
※完全バリアフリー
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【■055 取材日:2015.5.18】

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