九州

火の粉舞い、湯しぶき飛び散る「上田原湯立て神楽」

3年に一度しか開催されない大分県豊後大野市三重町の「上田原湯立て神楽」(三輪流)が、2015年12月20日(日)に開催される。
湯立て神楽は、山伏が修業のために行っていた荒行を今に伝えるだけに、大釜の中の湯を振りまいたり、真っ赤な釜の熾(お)き火を蹴散らしたり、と見るものを驚かせる。まさに奇祭で、昭和63年には、大分県の無形民俗文化財に指定されている。

神楽は、午後1時から午後8時までと長丁場。時間を見計らって、地区のお母さんたちの、温かい手延べだんご汁を味わいたい。
自家栽園の新鮮野菜タップリの具だくさんが嬉しい。
湯立て神事は、午後1時から始まり、午後1時半近くに「水入れの神事」が行われ、大釜に水が注がれる。
釜戸で薪が燃やされ始めると、舞台では「入り回し」の舞が先陣を切る。御嶽流神楽の「五方礼始」と同じ意味合いだが、「五方礼始」が五人で舞うのに対し、三輪流の「入り回し」は4人だ。
続いて、刀を手に舞う「正護」、弓矢を手に舞う「四天」が舞台を跳ねるように舞う。
大釜からは湯気が立ち上り、炎も勢いを増す。
二つの釜戸には、それぞれ12把ずつ、合計24把の薪がくべられる。
立ち上る湯気と燃え盛る炎が勢いを増す中、神楽ファン待望の綱切りが始まる。
まさに雄壮なり、壮観なり、だ。
辺りが闇に包まれ始めると、張り詰めた緊張感が漂いはじめ、雰囲気は一変する。そして湯立て神楽のクライマックスへの序章「大祓(はら)い」が始まる。
大釜の湯はグツグツと煮えたぎり、24把の薪が燃え尽きると、熾(お)き火が、釜戸の前にかき出される。
すると、待ってましたとばかりに、「湯改めの荒神」の登場だ。
「湯改めの荒神」は、釜の湯がたぎっているかどうか、釜を覗き込む。
湯を改めた荒神は、釜戸の前へ降り立っと、勢いよく足元の熾き火を蹴散らす。
まさに荒行だが、火の粉を浴びると厄除け、開運、無病息災のご利益があるそうだ。火の粉が降りかかってもいい服装で出かけたい。
荒神がおさまると、次は、大釜の湯霊(ゆだま)を除く「湯霊取り」の儀式。祝詞を唱えながら、釜の中の湯をかき混ぜ、たぎる湯から霊を取り除く。
湯霊を取り除くと、釜の中の湯を素手ですくい取り、盃に滴らせる。その盃は神棚に供えられる。
湯霊が除かれると、いよいよクライマックスへと…。
熊笹で勢い良く湯しぶきをまき散らす「湯かぶり」の舞だ。
修験者を思わせる白装束で、手には熊笹が…。
熊笹を釜の中に浸し、一気に振り上げる。湯が飛び散る。何度も何度も繰り返される。
振りかざした笹から飛び散ってくるお湯は、濡れることを気にせず、全身で浴びたい。ご利益のあるありがたい湯しぶきなのだから。
この後白装束の二人は、釜戸の前の熾き火の上で、素足のまま舞う。
そして大釜に入り、納めの祝詞を捧げ、驚きと感動の湯立て神楽は終わる。
上田原湯立て神楽は、3年に一度の開催だけに、熾き火の火の粉や湯しぶきには、3倍、3年分のご利益がありそう。この伝統ある湯立て神楽の保存、継承に取り組む上田原地区の保存会の皆さんには、心から感謝したい。そして、今年も、事故、過ちのないよう、無事に終わることを念じたい。

■日程■
13:00~13:15 湯立て神事
13:20~13:35 水入れ・火入れの神事
13:40~13:55 入り回し
14:00~14:25 正護
14:30~15:00 四天
15:00~16:00 深山流豊饒神楽(大分市)子供神楽
16:10~16:40 綱伐り
16:50~ 柴引き荒神
(湯立て神楽)
17:00~17:15 会長挨拶・注意事項の説明
17:20~17:30 大祓い
17:40~18:30 湯改めの荒神
18:15~19:05 湯霊(ゆだま)取り
19:10~19:50 湯かぶり
19:50~20:00 納め

_________
上田原湯立て神楽
住所:大分県豊後大野市三重町上田原
場所:御手洗神社
日時:2015年12月20日(日)13:00~20:00
電話:0974-22-5557(黒木さん)
駐車場:臨時駐車場有り(無料)

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