鹿児島県

人手不足で引く手数多!?鹿児島のCADオペ事情

皆さん、最近CADオペレーターの需要が増えてきている事はご存じでしょうか?
人材派遣業にも関わる仕事柄、求人情報をたまにチェックするのですが、募集の中には「全くの初心者でもOK。入社後指導します!」というところもあったりします。
ホントかよ!?と思って鹿児島での募集に応募してみたのですが、鹿児島では厳しかったですね。どうやら他の県ではそこまでして人手が欲しいところがある様です。

そんな事から興味が湧きまして、今回は鹿児島県でのCADスクールとしては老舗と言って良いでしょう、鹿児島市中町にある株式会社コルテーヌ代表取締役でスクール講師でもいらっしゃる黒木祥輝さんに、鹿児島のCADオペレーター事情と3DプリンターやVR・ARで話題にのぼる3DCADについてお話を伺ってきました。

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▲いつも笑顔が眩しい黒木さん。

 

手に持っている黒木さんオススメの本は、「CADノスゝメ 」中村 幹広 (著)と「描いてみようAutoCAD練習図面集」中村 幹広 (著), 黒木 祥輝 (著)です。

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黒木さん「当社では主に建設CADの職業訓練をやってます。
今から募集が6月8日から7月21日までということで、CADというとどういうものかというと”設計図面を焼くシステム”なんですけど、 日本の場合はモノづくりというものに特化しようとしているので、モノづくり上では設計図面が必要。
設計図面を描くからには、今はCADが必要なんですよっていう流れです。

また、職種としては色々な職種で使われています。
建設関係や機械関係、アパレルだったりとか指輪や眼鏡などのデザインにも使われています。

鹿児島の場合は圧倒的に建設業が多いので、建設業でCADを使われている事が多いです。
どの建設業でも使ってはいると思いますが。

以前、建設新聞とか当社でこういう人材を育成、紹介をしてますということを取材して頂いたことがあったのですが、やはり今、人口減少で圧倒的にも建設業の数は多いけど求人を出しても人は来ないという状況なのでうちで卒業した訓練を受けた者を建設業に紹介したりしている現状です。」
ーー「私の方も3DCADに関して、それを宣伝する団体とか他の3Dをやっている方たち、今だとVRメディアの方たちと交流があったものですから色々と話を聞いています。
昔から派遣業の方達と色々情報交換するもので、『最近CADの求人がだいぶ伸びてるよ』と。
求人情報とか見てても、鹿児島の方にしても県外にしても、『初心者でもいいからとにかく来てくれ』と。
もう最近では鹿児島の方でもちょっと学んでないともう厳しいよねという話になっているみたいですが、まだまだ他の県に関しては、『もう初心者でもいいからうちで教えるから来てくれ』という状況が出てるものですから、だったらこの情報をまず外に出して、仕事に困っている人達とかに、『CADの訓練を受けてその分野に進んでみたらどうですか』みたいな形で契機がかけられればなと考え取材に伺った次第です。

先ほど言われた通り、やはりモノづくりの方でCADの利用が増えてくるだろうというのは3Dを展開しているメディアの方達からよく聞いているものですから、だったら鹿児島でこれから3DCADを使っていく、CADを利用していく、モノつくりをしていく、アーティスト活動をしていく、そうなってくると鹿児島だったらどういった展開が一番いいのかなというのを聞ければ面白いと思います。」
黒木さん「実は、3Dというのはそんなに普及はしないと思います。」
ーー「普及しないと思う。」
黒木さん「当社ではAutoCADというのを使っているのですが、オートデスク社の会議に年に4回くらい取っておいて、外人さんが喋って通訳聞きながらやったりするんですけど、どうしても海外というのは映画とかメディア関係はCADで作られて3D化している文化なんです。
だけど日本の場合は二次元の手描き製図からCAD、海外はメディア関係というか映像からCADにいってる、日本人は図面からCADにいってるから3Dはそこまで必要性がないのが現状なのです。」
ーー「なるほど。」
黒木さん「だから正直に言って色々な雑誌に立派な3Dが描いてありますが、そんなに普及はしないというのは世界的に見て…」
ーー「日本が特別、土壌が難しいところ…。」
黒木さん「難しいというところということなんです。
海外はメディアとか映像からCADになってるから、もう3Dは絶対必須なんですけど、結局建設関係にしても二次元の図面があれば予算が余ってれば3Dまで作ったらお客さん喜ぶかなっていうレベルなんです。
オマケみたいなのが3Dなんです。
だからこのソフトウェア関係ももっともっと3D普及してよ日本っていうのをいつも言われてるのですが、なかなか普及していないのが現状です。
東京でさえある一部はやってるは当然やってますけど、そんなに普及はしていないというか、これかも多分難しいと思います。

ただ医療の現場でさっきの3Dは必要になってくると思うので、手術をする前に内臓を3Dプリンターで作って、練習したりするというのはよく聞いたりするんですが、建設や機械以外の分野で3Dは必要になってくることはあるかもしれない。

きっと建設関係とか今までCADを使っている職種での3D化というのはそんなに必須にはならないというのが将来性です。」
ーー「ソフトウェアの話になるんですけど、Fusion360もオートデスクさんでしたよね。そこがまた今年の夏頃テキストを出してそれがCAMに関するテキストだったと思います。
それを見て、だったら3D関係の仕事もこれから増えてくると思ってたのですが、鹿児島に関してはまだまだという感じですね。」
(※ CAM:切削加工の機械などの製作機械を動かすシステム)
黒木さん「多分、まだまだですね。
Fusionは今オートデスクが力を入れていて、とにかく広めなさいというお達しがきてて、あれをたくさん広めて一番優秀な学校には奨励金を出しますっていうぐらい力を入れているんですがなかなか難しいという感じです。」
ーー「なるほど。
職業訓練校で3DCADのレッスンを受けた方から話しを聞いたのですが、機械のパーツを都城か大隅方面で作っている会社があるのですが、人がいなくて…という話も聞いていますがこれはいかがでしょう?」
(※ 都城:宮崎県都城市)
黒木さん「ですね。3D関係は都城にあります。全部外注してます。本来の事業も。」
ーー「そうなんですね。鹿児島近辺には1社しかないのは驚きです。」
黒木さん「そこの会社は3Dだけでは食っていけないから色々な仕事を請け負っていると思います。
多少問い合わせてみましたが、私が知っている建設会社なんかはほとんどそこに3Dが必要な場合は外注するということです。
そのレベルでいいかなって思ってますね皆さん。
そんなに頻繁に必要なものでもないし、自分でできれば一番いいんでしょうけど、そこまではどこの建設会社もしてないっていう感じです。」
ーー「ちょっと話が変わるのですが、CADオペレーターが必要というのは、やはり昔から手書きで描いてらっしゃった図面を引かれた方がパソコンが苦手だから外注してるというところもあるのですか?」
黒木さん「あるかもですね。」
ーー「トレーサーという形としての需要が鹿児島でも増えていると考えてても大丈夫ですか?」
(※トレーサー:製図などで別の物に原本を写し取る方の事。例/紙の手書き製図からCADデータへ)
黒木さん「それは大丈夫だと思います。ほとんどがCADオペレーターで求人が来た場合、入社してから設計師がフリーハンドで描いた図面をこれCADデータ化してねと言ってCADでピコピコ引いて、印刷して、営業に渡すという業務が多いですね。
そのCAD製図を外注するということは今少し減っている。昔それを請け負っていた時代はあったんですが、ほとんどの建設会社はもうCADを備えているので、それを使う人が必要ですよというパターンだと思います。」
ーー「一昔前だったら専門家がフリーハンドで引いてたのを、トレーサーの方たちがCADへトレースしていたのが、実質引ける方たちがCADを使い出してきたっていうのが今の鹿児島県の現状。」
黒木さん「だから今も結構、企業からの社員研修をしてほしいという依頼は最近結構多いです。
来週、再来週からうちの社員をお願いしますと言って6名くらい受けに来たりとかっていうのがありますね。
そういう意味ではCADは普通のWord、Excelと違ってちょっと特殊でビジネスに直結というところもあるので、うちとしては運が良かったなというか、
CADに関してはもう17~18年やってますけど、他の同じようなパソコンスクールさんは真似できない部分なのでそこは良かったという気がしています。」
ーー「となってくると、これから鹿児島県に関してのCADオペレーターの需要というのはどうなってきそうですか?」
黒木さん「まず建設業が圧倒的、まず間違いなく需要はあります。」
ーー「間違いなくあるという感じ。」
黒木さん「建設業の数が多いというのと、これから東京オリンピック、鹿児島国体、色んな観光事業においてインフラ整備をしないといけない、宿泊施設も全然鹿児島には足りないとなると、建設業はもう山ほど仕事があります。
だけど人手が足りないということで募集しても人がこない。だからもう間違いなくこれから人の奪い合いが起こる。
給料で差別化するのか、福利厚生でするのかわからないけど、とにかく需要があるというか、建設会社は人をかき集めないといけないということになってくるという意味でも追い風というか、需要は出てくると思います。
現に今、昨日一昨日で三件くらいCADオペレーターの求人がきたのですが、卒業生が勤めている会社からくるんですけど紹介する人がいないんです。
この訓練が6月1日からスタートしたばっかりで、今始まってるのが8月末までなんです。訓練生20名いて濃いメンバーなんで、求人を出してきた企業様にも今はまだ紹介できないですけど、過去の卒業生みんな就職してますし紹介できる人がいないんですけど、8月末だったら優秀な人間がいっぱい紹介できるのでそれまで待ってもらえませんかと言っているところです。」
ーー「となってくると、国体が終わった後とかというのは需要はまた…」
黒木さん「ガクッと下がると思いますね。」
ーー「じゃあ今が入り込むチャンスだということですね。」
黒木さん「今は仕事がいっぱいあるので。」
ーー「とにかくまずCADの技術を身につけて、仕事に不満にある人、ギャラの少ない人はちょっとCADオペレーターに転職しませんかという流れが鹿児島に関しては…」
黒木さん「そこまで思ってるかどうかはわからないですね。一時期昔、テレビでCADが取り上げられた時が一番そういう時期だったかも知れません。」
ーー「ちょっと旬が過ぎたっていう。」
黒木さん「もうある程度定着してきてるかなって気がしますね。ただ、みなさんWord、Excelとかパソコンができるようになって、さらに次のステップは何かとなったらCADかWEBかイラストレーターか。
じゃあどれにしますかとなった時はもちろんCADは建設業に直結なんですけど、WEBだったらどちらかというか雇われるというより、個人事業の方が多いと。
だからその覚悟がある方はWEBをやった方がいいと思うし、そしてイラストレーターはデザイン関係、印刷会社。でも結構デザインもネットで注文出来たり、みんなパソコンスキルが上がってるから自分達でできるようになってきてるから、そこもちょっと厳しい。
だいたいこの三種類でどれを選択するかで皆さん悩まれるパターンが多いのかなという気がします。だいたいそんな感じです。」
ーー「CADに関してはこれから国体とか建設関係で仕事が増えてますと。
今ちょっと3DCADの話が置かれている状況なんで、この3DCADの将来性とかはどうでしょうか。」
黒木さん「当社で3Dは一応やるのはやってるのですが、絶対必要とまではいかないという感じです。CADの二次元の図面は絶対必要ですけど、国の制度としてですねCALS/EC(キャルス/イーシー)というのがあるんですけど、これも平成14年度から国土交通省がスタートしたんですけど、キャルスイーシーですね。

まずはキャルスというのは新しいパソコンとかソフトのことではなく、設計図面とか色んな写真とか図面関係を全部電子化にしましょう、ペーパーですと電子媒体で取引をしましょうという意味なんです。電子印刷・電子納品という意味なんですけど、要は建設会社も全部IP化をはかっていかないと、入札には参加させませんという縛りを国が作ったんです。
事の発端は森総理の時代に森総理が日本は世界一のIT推進国にするんだって言ってしまったものだから、当時の大臣達が森総理に何か手柄を取らせないといけないといって世界中駆け回ってみつけたのがこのアメリカはやはりキャルスというものをやっている。
そしてアメリカは軍事的に高性能な戦闘機を開発して、それに関しての取り扱いのマニュアルというのがやはり膨大な数になって、それをコクピットに積んで空を飛んだとしても、壊れても見つけられないじゃないかと、そういうのをペーパーレスにして全部電子化してくださいっていうのを軍事的に行ったのがアメリカだっんです。
それを当時の日本の大臣が聞きつけて、これは目玉になる。そして日本に持ち帰ってどこに割り当てようか。医療なのか福祉なのかってなった時にやはり建設関係の国家予算が非常に大きい金額だったのでそこに割り当てるのが一番目玉になるよね、ということで建設業に電子化にしましょうというのを義務化していったわけなのです。

ただそうは言っても国がそんなことを言っても民間は簡単にIT化を図れない、ついていけないということなので、レベルを1、2、3に分けて段階的に進んでいるところです。
鹿児島は今は現在レベル2です。熊本、福岡、長崎は既にレベル3まで行っている。
つまり鹿児島の場合、まずレベル1はインターネット、電子メール、Word、Excelを当たり前に使ってくださいよ。
レベル2が現場写真はこういう写真、現場で撮っている写真なんですけど、それはもうデジカメの電子データで全部CD-ROMにおさめて提出してください。
鹿児島でここまでできないところは入札に参加させませんよっていうことになっています。
そしておそらく来年とか再来年度になると思うのですが、レベル3が必要とされる設計図面は絶対CADデータじゃないと駄目ですと。
つまり今現在はまだCADじゃなくても良いという段階なのです。
これからもっと義務化されてくる。それでここに3Dは出てこないんです。どうしても。」
ーー「建設業界に関しては、とにかく2DCADは必要になって需要が増えてきている。」
黒木さん「機械関係の方、3Dといえばどちらかと言えば機械関係に使われるのですけど、鹿児島の場合機械関係の企業がほとんどない。どちらかというと国分、姶良方面の方はあるんですけどほとんど機械系の企業はない。
どちらかというと機械系といえば大手さんがやることになっているので、京セラとかSONYとかトヨタ車体とか、そこの下請け会社くらいまでが機械系のCADはするんですけど鹿児島は非常に少ないところがありますね。
だから当社としても機械のCADはしないというような形ですね。」
(※ 国分、姶良方面:鹿児島県霧島市国分・鹿児島県姶良市)


●上記資料はコルテーヌパソコンCADスクールパンフレットより
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今回の取材でCADオペレーター視点から、鹿児島のものづくり事情や日本における3D事情が少し見えた様な気がしました。皆さんの中にはご自分の立場から考えて参考になる部分もあったのではないでしょうか?
なお、普通にCADオペレーターに仕事に興味を持った方。
コルテーヌでは職業訓練の他、無料で託児所が使える講座もあったりしますので、興味のある方は下記連絡先にお問い合わせ下さい。


▲上記のチラシは2017年9月5日開校のものです。
●株式会社コルテーヌ
住所:鹿児島県鹿児島市中町4-7 コルテーヌビル(照国表参道)
TEL:099-222-5858
FAX:099-805-0929
HP:http://www.cortanu.co.jp/

 

取材:2017年6月17日
執筆:2017年7月19日

 

※ この記事は薩摩忍者が運営している「クリエイティブパフォーマンスBAN」より転載致しました。

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