福岡県

プロレスラーばってん×ぶらぶら『木鶏』の境地を語る

▲みごと木彫りの鶏になりきった、九州プロレス所属のレスラーばってん×ぶらぶら選手。サングラスの奥では闘志が燃え盛っている。虚空を見つめる瞳(見えないけど)には一片の迷いもない(はず)。


1月31日、北九州芸術劇場大ホールにて九州プロレスの興行が開催される。「北九州を元気にするバイ!!’16」と銘打たれたこの大会、最も注目すべきは福岡県筑紫野市が生んだ唯ひとりのプロレスラー、ばってん×ぶらぶら選手(以下、ばってん選手)のタイトル挑戦だ。一世一代の大舞台を踏むばってん選手に、自信のほどを尋ねてみた。


▲息のあったコンビプレーで会場を沸かせる、めんたい☆キッド選手(左上)とばってん選手(右上)。2人は学生プロレス時代からの先輩後輩でもある。12月に開催された「博多華味鳥杯1DAYタッグトーナメント」では、見事チャンピオンの座を勝ち取った。

現タイトルホルダーのめんたい☆キッド選手といえば、メキシコ修行の経験もある闘龍門出身のルチャドーラ(メキシコ流プロレスラー)。代表を務める筑前りょう太選手と並ぶ実力派として、次世代のエースと呼ばれている九州プロレスの金看板のひとりだ。
一方のばってん選手は西口プロレス(お笑いのイベントであり、プロレス団体ではない)を経て、各団体のリングに登りながら、お笑いタレントとプロレスラーの狭間を迷走し続けてきた。今でこそプロレスラー名鑑にも名を連ね、九州プロレスを代表するレスラーの1人へと成長しつつあるものの、めんたい☆キッド選手とは実力、人気共に雲泥の差がある。


インタビューは、ばってん選手が学生時代にアルバイトをしていた筑紫野市二日市の居酒屋『Restaurant bar dining 木鶏』で行った。もともとタコ焼きの屋台として始まったこの店は、開業から十数年を経て全国に系列店を展開し、筑紫野市を代表する有名店へと成長した。オープン当時から在籍し、東京進出後もタレント業のかたわら港区麻布にある系列店で働いていた。「この店が僕のルーツなんです」と誇らしげだ。ところで「木鶏」にはもう1つ、勝負の世界に身を置く者が模範とすべき、本来の意味があることをご存知だろうか。

その意味するところは「木彫りの鶏のように何事にも動じず、泰然自若としている様」だ。古代中国の思想書「荘子」に登場する言葉で、最強の闘鶏を表す。かつて大相撲の横綱双葉山が連勝記録を断たれた際に「未だ木鶏たりえず」と己の弱さを省みたというエピソードがある。


▲木鶏になぞらえると、見るも無残な生え際さえ、ついばまれ傷だらけになった歴戦のトサカを彷彿とさせる。

勝機はあるのかという問いかけに「ありません」と即答したばってん選手。その言葉通り、タイトル戦の下馬評はあまり芳しくない。まともにぶつかって勝てる相手ではないことは端から見ても明らかだ。それでも、ばってん選手の目は真剣そのものだ。
なにか特別なトレーニングを積んでいるのかと尋ねると、自信ありげにニヤリと笑った。
「いつもならイメトレだけと答えるところなんですが、今回は肉体改造に着手しています」


▲某所にて秘密の特訓をするばってん選手。

プロレス団体には所属せず、プロレスラーであり続けることの難しさをまざまざと感じてきた。そんな、どっちつかずの自分をプロレスラーとして生きていけるようにしてくれたのは、紛れもなく九州プロレスと、暖かく見守ってくれる九州の人達だ。その恩に報いたい。一人前のプロレスラーになった自分を見てほしい。気力、体力ともに挑戦するなら今しかない。ひょっとしたら、これが最後のチャンスかもしれない。

「もしも、もしも勝てたとしたら、最高に面白い試合になると思いませんか」

誰もが夢見るチャンピオンベルト、その山の頂に続くルートはひとつではない。お笑いタレントと二足の草鞋を履きながら、自分流のプロレスを模索し、道なき道を歩んできた彼の目標もそこにある。


▲王座奪取を祈願してゲン担ぎ4品。左上から時計回りに、「勝ち取る」語呂合わせでカチャトーラ(狩人風鶏煮込み)、初心に帰れの意味で木鶏のルーツであるタコ焼き、色白ポッチャリなばってん選手によく似た名物もっちり豆腐、あらっと驚く番狂わせを期待して本アラ鍋。旬の食材を活かした食通も唸る一品と、バリエーション豊かなレギュラーメニューが木鶏の持ち味。ばってん選手の技のレパートリーもかくあって欲しい。


▲二日市中央商店街のイルミネーションを前に、子供のようにハシャぐばってん選手。
「離れているとわかりますが、筑紫野市っていいところなんです。これも恩返しのひとつです」近い将来、ここで九州プロレス王座の防衛戦をするのが目標だそうだ。

負けることなど露ほどにも考えてなさそうなばってん選手。その目に迷いはない。強いばかりがプロレスラーじゃない。こんな木鶏がいてもいい。がんばれ、ばってん!ばってん!

▼北九州ば元気にするバイ!!’16
日時 2016年1月31日15時(14時15分開場)
会場 北九州市小倉北区室町1-1-1-11 北九州芸術劇場大ホール
主催 NPO法人九州プロレス(http://www.kyushu-pro-wrestling.com
料金 大人3000円/学生2000円/子供1000円
チケット取扱店
ローソンチケット(0570-084-008/Lコード:84131)、チケットぴあ(0570-02-9999/Pコード:830-873)、イープラス(http://eplus.jp/)、スリーオクロック(092-732-1688 http://www.3pm-net.com)、九州プロレス(092-400-9938 http://kyu-pro.shop-pro.jp

▼Restaurant bar dining 木鶏
福岡県筑紫野市二日市中央4-8-14
050-5522-3982
月~木・日・祝日
17:00~翌4:00(L.O.3:00)
金・土・祝前日
17:00~翌5:00(L.O.4:00)
定休日無し
近隣にコインパーキング有
西鉄大牟田線 西鉄二日市駅西口より徒歩3分

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