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『環七背脂チャッチャ伝説』の遺伝子を継ぐ店★後編

▲せあぶらをふる「土佐っ子」の味

■ようやくときわ台『下頭橋ラーメン』の話

▲店主の堀内さん。棚の麺箱には『土佐っ子ラーメン』時代と変わらぬ『つるや製麺』の文字が

本家『土佐っ子ラーメン』のスタッフは散り散りとなったが、「あの味」を忘れることのできない男たちがいた。
そのなかのひとり、2007年にオープンした『下頭橋ラーメン』の店主である堀内辰也さんにお話をうかがった。

「元は中華料理のコックだったんです。『いつか独立したい、そうするならラーメン屋だな』と思っていたときに『土佐っ子ラーメン』に欠員ができたことを知って、なんとか採用してもらいました」(堀内さん)。
ところが現実は甘くなかった。「自分が衝撃を受け、大好きだった『土佐っ子ラーメン』の味とは変わってしまっていたんです。不本意なラーメンをつくりながら『あの味』をなんとか復元しようと」。
堀内さんの試行錯誤の日々が始まった。力になってくれたのは、『土佐っ子ラーメン』の全盛時を知る常連たちだったという。
「ひとりのお客さんが『昔はこうだった』と言う。自分では『それはちがう』と思っても、別のお客さんから同じことを聞く。ふたり以上の人が言うなら、自分の考えは横に置いてその言葉を信じてみようと」。
失われたピースをひとつひとつ集めるなか、決定的だったのがある老人との出会いだ。
「あるお客さんが、屋台時代に創業者といっしょに働いていた人だったんです。最初は『ちがう。また来る』と箸を置いて帰ってしまった。つぎも同じ。そんなことが繰り返されるうちに、あるきっかけから大切なポイントを教えてもらえるようになって」。
まるで料理ドラマのような話だ、と板橋区の地域編集長・タハラは思った。あるんですねえ。

▲店名の由来

登記上は「げ『とう』ばし」なのだが、「げ『ど』ばし」と呼ぶお客さんが多いそうだ。誰が書いたのか、パネルにもルビが振ってある。

■『下頭橋』のラーメンは……。

▲『ラーメン』(750円)。

▲いたばしまーす!

▲メニューは2種類のみ

子どもの頃から『土佐っ子』の近所に住んでいたタハラは全盛時を知っているし、味が落ちる過程も体験している。さらに、分裂後の各店のラーメンもずいぶん食べ歩いてきた。記憶とすり合わせながら『下頭橋ラーメン』の味を表現すると「お上品にならない範囲で『土佐っ子ラーメン』をおいしくした」感じ。豪快でパンチのあった『土佐っ子ラーメン』に対し、『下頭橋ラーメン』はしみじみとうまい。
そのことを伝えると、「食べやすくしちゃった、というのはありますね」と、堀内さんはすこし申し訳なさそうに答えた。この「しちゃった」ってのが、いいじゃないですか。
「昔の味を再現することは、ほぼ可能なんです。でも『土佐っ子ラーメン』は、あの時代の、あの場所ならではの味だから」。
堀内さんは、細かい解説を加えながら一杯のラーメンをつくって見せてくれた。
「たとえば寸胴に浮いた脂。『土佐っ子ラーメン』ではこの脂もつかっていましたが、いまはつかっていません」。
矛盾するような言い方だが、「脂が澄んでる」と感じるのはそのためだろう。
「背脂を振るときにニンニクを入れてます。スープにも入ってるんですが、青森産のニンニクを奮発しています」。

▲そのままでも甘いニンニク

寸胴から取り出したばかりのニンニクを食べさせてもらった。甘い!

▲「チャッチャ」の素。ニンニク、たしかに入ってる

「『土佐っ子ラーメン』では麺に味を沁み込ませるために、スープに漬けて1~2分放置してました。いまはそういうあからさまなことはしないですね」と言いつつも、「ちょっとだけ、他の仕事をするふりをして時間を稼ぐことはあります」だって。常連客のなかには、ラーメンが提供されてもすぐに箸をつけずに待って「沁み込ませタイム」をつくる人もいるそうだ。

▲店内はカウンターのみ

カウンターは奥行きがたっぷりあるので、狭い感じはしない。

▲店名の由来である下頭橋

創業者が屋台で商売を始めたのがこの橋のたもとだった。

▲お店の外観

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『環七背脂チャッチャ伝説』の遺伝子を継ぐ店★前編

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『下頭橋ラーメン』
住所:東京都板橋区常盤台3-10-3
グーグルマップ → こちらのQ
最寄り駅:東武東上線『ときわ台』『上板橋』
どちらからも約900メートル
電話:03-3967-5957
営業時間:18時~28時(翌日午前4時)
定休日:水曜日
喫煙可
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【■021 取材日:2015.2.22】

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