福岡県

夏休みの自由研究にどうぞ。閑静な住宅街に謎の巨石!

「モビーディック!」
エイハブ船長の叫びが聞こえたような気がした。筑紫野市の某所、民家の塀を押しつぶすようにして道路へと張り出した巨大な石。その姿たるや、今まさにピークォド号にのしかかり、海の藻屑にせんとするハーマン・メルヴィルの『白鯨』を彷彿とさせる。


巨大な鯨はまっすぐに、通りを挟んだ反対側の斜面を睨んで(目はないけど、たぶん)いる。その執念はまるで、そこに荒波に揉まれ、離れ離れになった我が子がいるかのよう。


いったいこの巨石はなんなのか。
実は鯨ならぬ『鯰石(なまずいし)』といって、菅公にちなんだ伝説が残されている。注連縄が巻いてあるわけでも、傍らにお社があるわけでもないけれど、由緒ある石なのだ。
今は昔、この辺りには大きな水道が通っており、大きな鯰が行ったり来たりして、川を渡ろうとする人の邪魔をしていた。たまたま菅原道真公が通りがかった時にも、この鯰は巨体にものを言わせて行く手を阻んだ。そこで道真公が腰の刀を抜いて退治したところ、鯰の体は3つに分断され、飛び散って石になったとのこと。また、日照りのときに酒で洗うと雨を降らせるご利益もあるそうだ。

太宰府市と筑紫野市は伝承の地。普段見慣れた街並みの中にも、しっかり歴史が息づいている。もし散歩がてら、伝説ゆかりの地を巡ってみたいと思う方がおられたら、ここに最適の入門書があるので紹介しておく。また、夏休みの自由研究のテーマとして、身近な町で歴史探訪の旅はいかがだろうか。A5版の小冊子は地図も兼ねている。カバンに入れて持ち歩くには最適だ。


▲『太宰府伝説の旅』大隈和子著(税込525円)
随筆風の優しい文体で、太宰府市と筑紫野市にまつわる伝説について、ことこまかに紹介してある。手書きの地図が素晴らしい。初版の出版が平成元年、改訂版が平成22年、現在の街並みと較べると、少しずつ古びてきている情報にさえ趣がある。

▼古都太宰府保存協会(発行・販売)
太宰府市大字観世音寺4-6-1 太宰府展示館内(地図を表示する
092-922-7811
8時30分〜17時
月曜定休(祝日の場合は翌日)
http://www.kotodazaifu.net/i_tenjikan.html

 

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