九州

猫の恩返し…ちっちゃなカフェ「森のごはんや」

大分市の旧野津原町太田の田ノ口地区に2016年6月24日(金)ちっちゃなカフェ「森のごはんや」がオープンした。
「森のごはんや」は、ケヤキが並ぶ山間にあり、テラスの前に広がる緑の中には、100本ほどのブルーベリーが植わる。
オーナーは小野信一さん(61歳)。退職後、56歳の時に実家のある太田の田ノ口地区にUターンした。
走りやすさを増す幹線道路からも外れ、増え続けるコンビニとも無縁の田ノ口は、文字通り限界集落。「30戸あった家も今ではわずかに8戸ですよ」と小野さん。
そんな現実に小野さんは「日常の会話まで落ち込んでしまってはいけない、町から見放されてはいけない。人里離れた、取り残された地域のままで終らせたくない」と。
そして「里山に再び活気を取り戻し、お年寄りたちの会話が絶えない居場所を作ろう」と一念発起。
そんな小野さんの気持ちに、友人や知人の方々も賛同。あれこれ話しているうちに、みんなで資金を調達しあう「クラウドファンディング」方式に注目。そして出来上がったのが、「森のごはんや」だ。
「森のごはんや」はみんなの力の集合体であると同時に、地区のお年寄りの集いの場。だからコミュニティーレストラン「森のごはんや」だと。
シンボルは、猫の足あと。
お出迎えも猫。写真の猫は小野さん夫妻の愛猫で、名前は「りんご」。実は「りんご」ちゃんは捨てられていた。山間の村、田ノ口だからか、信一さんは「りんごちゃん」に出会う前にも、捨て猫たちに出会った。その際、フェイスブックで里親を募集したところ、由布市の「トムソーヤビレッジ」の藤野博史さんが名乗り出てくれた。

「トムソーヤビレッジ」は、ログハウスの設計や建築ログキットの販売を手掛ける会社だ。その社長の藤野さんに出ったことで、小野さんの願いは大きく前進。友達の輪はさらに広がりを見せ、「森のごはんや」の建設を大きく支えてくれたのだ。
まさに「ツルの恩返し」ならぬ、「猫の恩返し」だ。
そんなわけで、捨て猫だった「りんご」ちゃんにも感謝している。だから「実際のオーナーは、実は、この『りんご』なんです」と信一さんは目を細める。
席は、テラス席のみでカウンター席を含め、10席。メニューはランチとコーヒー。料理を作るのは奥さんの由美さん(56歳)で、「ランチは日替わりで、毎日違うメニューを出させていただいてます。私が食べたいな、って思うものだけど」と笑う。
聞けば、オープンして以来、この日(7月4日)で11日目とはいえ、同じメニューは出していない。
ランチメニューは、こんな感じだ。これは「チキンのトマトソース煮」。トマトソースが好評で、最後はスプーンですくって食べる人もいたと…。
こちらは、デミグラスソースの「チキンカツ」。ソースは、季節の果物を隠し味にするそうで、今は桃だ。
家で一人で食べてばかりでは美味しくない、楽しくない、と訪れる地元のおばあちゃんたちには、「今日のメニューは何かな」といつも楽しみ。
因みにこの日のランチはカレー。
迷わず、そのランチをオーダーした。米は自家栽培で、農薬は使わず、除草は手仕事。乾燥は、自然に委ねる掛け稲(掛け干し)だ。それに十穀が混ざる。
この日は、人参にジャガイモ、鶏肉のカレーで、ゴロゴロ感が昔懐かしい。
不揃いのラッキョウは見ただけで自家製と分かり、その歯ごたえ、シャキシャキ感がたまらない。
「今は桃ですね」と自家栽培の季節の果樹が煮込まれているとあって、優しめなスパーシーの中に心地よいフルーティーさが漂う。実に優しいカレーにホッコリ気分だ。
そうこうしていると、また一人、地元のおばあちゃんが…。由美さんも加わっての弾む会話が耳に心地よい。
小さなテラス席は、おばあちゃんたちに、野菜作りや漬物作りの知恵、秘訣を教わったりもできそう。「訪れてくれた方々と地元のおばあちゃんたちが会話を楽しんでもらえれば」と信一さん。
かつて、田ノ口地区では当たり前だった日常会話やご近所さん感覚を「森のごはんや」が取り戻しつつあるようで、実に微笑ましい。

コミュニティーレストラン「森のごはんや」は、元気な日常を取り戻す場として大きな一歩を踏み出したが「地区外の方々にも足を運んでもらえれば」と稲作体験などにも取り組んでいる。
そんな信一さんのお楽しみは、ブルーベリーの収穫体験もだが、なんといっても、秋のメープルシロップ作り。「ここはイタヤカエデが自生しているので、そいの樹液を煮詰め、みんなでメープルシロップ作りを楽しんでもらえれば」と信一さん。
さらに「森のごはんやの周辺をうまく活用し、森の楽しみ方を提案したいですね」とも。

「森のごはんや」は、県道412号から県道690号「湛水狭間線」へと走り、しばらく道なりに走ると、この交差点に出くわす。この看板が目印だ。ただ、この先から「森のごはんや」へは道幅がチョッと狭いので、譲り合いの心で車を走らせたい。

<スポット情報>
店名:コミュニティーレストラン「森のごはんや」
住所:大分市大字太田(旧野津原町)1703番地21
電話:090-8394-6784(小野信一)
時間:11:00~16:00
席数:10席
休業日:木曜日
駐車場:5台(無料)

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