□正式名称は『ちくわフリッター』(210円)□
東京都板橋区志村の『マルフクベーカリー』(以下『マルフク』)を紹介する。味・人気・歴史をかね備える人気店だ。
■独特にもほどがある調理パン
「あの店のちくわパン、おいしいよ」。知人に聞いて板橋区の地域編集長・タハラが想像したのは、ちくわを食パンに挟んだだけの食べ物。味を想像して「おいしくないじゃん!」と早合点しそうになったが、ものは試しと買いに行った。
▲『ちくわフリッター』の断面
なるほど、ちくわを揚げてコッペパンにはさんだのか。と、食べてみて味の完成度に驚いた。衣はほんのりカレー味。キャベツの量とマヨネーズのバランスが絶妙だ。ちょこっとのったパセリに郷愁を誘われ、ひと噛みで『マルフク』のファンになってしまった。
▲『なっとうドーナッツ』(150円)
「これもおいしいですよ、納豆のパン」。声をかけてくれた販売係の女性が『区内屈指の販売クイーン』と知るのはまだ先の話。
「納豆? パンと合うとは思うけど」と食べてみてまた仰天。揚げたパン、タレがほどよくからんだ納豆、焼き海苔の調和が『完成品』の域にある。
▲『板橋区Cityマラソン』で名物となった『メダルドーナツ』(210円)も
■乳脂肪48%の純生クリーム
▲おぐら、ずんだ、みるくバター……『ミニあんぱん』は140円。マスカロポーネ純生クリームが入った『ミルクブランチコロネ』は220円
▲純生クリームたっぷりの『ミニあんぱん』
『ミニあんぱん』の重さは約60グラム。「この小ささで140円は板橋区の店としては高いな」。その1分後に「200円でも高くない」と思い直す。味のやさしさに笑顔が抑えられない。初めてなのに懐かしい至福のあんぱんだ。先入観がことごとくひっくり返される店である。
午前中に買えばさらに安い。純生クリームは温度に弱いのでパンが冷めてから注入する。そのため販売は午後からとなっていたが「午前中にも食べたい」という声に応え、前日に焼いたパンをつかうことに。
そこで「前日のパンだから」と20円安い120円にしてしまうのが『マルフク』なのだ。
■店長と販売クイーンに聞く
▲左:『マルフク』3代目の阿部憲和さん。じつは元プロボクサーなのにイケメンのままとは、かなりのテクニシャン? 右:『販売クイーン』上野泉さん
商品の種類の多さついては「どのパンにもファンがいるので、いちど販売を中止しても復活したりで数が増え続けています」(阿部店長)とのこと。
『マルフク』の創業は1949(昭和24)年で、66年の歴史をもつ。初代(おじいさん)のときは「半分がケーキでアイスも売る、何でも屋みたいな感じ」(阿部店長)だったとか。パンの個性と種類がふくらんだのは、店長のご両親の代だそう。
「『ちくわのフリッター』は、ぼくの幼稚園のお弁当に、おふくろがこしらえてくれていたもの。それをパンにしたらおいしいんじゃないかな、と。『納豆ドーナッツ』は、小学生の頃にごはんの代わりにパンに納豆をのせたらおいしかった。それが原型です」(阿部店長)
ここで上野さんが登場。「彼女は、販売の達人の『中野製菓』の社長さんが(新人に)「この人を見ろ」と言ってくださるほどのプロです」(阿部店長)
『マルフク』は週に一度、JALの本社ビル(天王洲アイル)と羽田空港で職員向けの出張販売を行っている。そこで長蛇の列を迎えるのが上野さんなのだ。
彼女の第一声は「プロじゃないですよー!」。「店長と職人さんは別ですが、うちのスタッフは素人集団なんです。私だって資格もないし」と言うが、「おいしいもの、人に喜んでもらうことが大好き」なのは一目瞭然。
そんな上野さんにいちばん好きな商品を尋ねると『イギリスパン!』。「小さなお店でパンの種類も多いから、いつも同じ条件で焼きあげるのが難しいんです。形が毎回ちがって手がかかるんですけど、そこがかわいくて」(上野さん)。
▲『イギリスパン』(270円)withカルピスバター。軽い+柔らかい+優しい=おいしい!
▲『区民が選ぶ板橋のいっぴん』認定のサンドイッチ(370円)
▲左から阿部店長、清水弘子さん、上野泉さん、佐藤政美さん。よく「ご家族?」と聞かれるそうだが、それも納得の一体感がある
※価格はすべて税込みです
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『マルフクベーカリー』
ホームページ → こちら
住所:東京都板橋区志村2-9-2
グーグルマップ → こちら のL(ピンク色)
最寄り駅:都営三田線『志村坂上』駅
A4出口から約270メートル 徒歩約4分
電話:03-3966-1013
営業時間:8時30分~21時
定休日:日曜日
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【■059 取材日:2015.6.5】
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