『元祖』コッペパン、焼けました
東京都板橋区大山町のパン屋『マルジュー大山本店』を紹介する。
『大山』駅南口の改札を出ると視界に入るのがこの店。店内は珍しいつくりで、焼きたてのパンが並ぶ『マルジュー』の売り場と隣のコンビニエンスストアが、仕切りのないひとつの空間に並ぶ(コンビニ、パンの売上だいじょうぶか?)。
▲売り場の先がレジ、さらに奥が客席
店長の岸波さんにうかがったところ、売上ナンバー1は『自家製カレーパン』(141円)で、2位が『焦がしバターメロンパン』(141円)だそうだ。
▲1位『自家製カレーパン』(141円)
やや甘口のやさしい味。コロッケっぽく撮影したから小さく見えるが、食べごたえあり。毎日300個も売れるそうだ。
▲2位『焦がしバターメロンパン』(141円)
この店のパンすべてに共通しているのが「まとまりのある優しい味」。なにかひとつの味や香りが突出することのない、まーるいおいしさ。
▲『とろ生コッペ』(154円)
一日50個だけの生産なのでランキングには入っていない隠れた人気者。カスタードとホイップのダブルクリームだ。
▲ご当地パン
『大山ホイップあんぱん』(162円)
■コッペパンの元祖
ここでコッペパンの歴史を。
1919(大正8)年、陸軍の要請に応えて「携帯に便利で腹もちも味もよい」コッペパンを開発したのが、田辺玄平氏だ。日本のパン食文化に多大な影響を与えた人物で、パン業界では「玄平『翁』」と敬われている。この玄平翁の店が『丸十ぱん店』であり、そこで修行を積んでのれん分けを許されたのが『マルジュー』創業者の伊藤正二氏なのだ。
▲店内にはミニミュージアムも
単品のパンだけでなく、セットメニューも充実している。どれをオーダーしてもアツアツにして提供してくれるのがうれしい。
7時から11時のモーニングは、4種類のパンのいずれかにドリンクがついて330円(サラダをプラスで430円)。目玉焼きとソーセージの『モーニングプレート』(490円)も人気。
▲モーニングのメニュー
▲『モーニングプレート』(490円)
トーストは厚切り。目玉焼きのフチの焦げ目もナイス。
11時~21時はホットサンドが3種類、コッペパンのサンドが2種類用意されている。
▲ダブルコロッケコッペ
単品290円、ドリンクとサラダつきで520円。ボリュームもコロッケの味も、かなりのもの。
▲BLTサンド
ベーコンは厚切り。単品390円、ドリンクとサラダつきで620円。
▲マルジューレディース、笑顔がいいね
■『しあわせのパンのうた』(仮題)
板橋区の地域編集長・タハラは『マルジュー』でコーヒーを飲んでいた。コーヒー(Mサイズ:240円、Lサイズ:290円)の深煎りでどっしりとした味、好きなんだ。
会話をさまたげないほどのボリュームでBGMが流れている。オールディーズ、ジャズのスタンダード、管弦楽……なかなかいい選曲だな、と聞いていると日本語の女性ボーカルの曲に変わった。ギター1本の弾き語りで、春を感じさせる静かな曲調。自分が知らないだけで、ヒット中の曲なんだろうか。
♪この町でパンを焼いて あなたまで届けよう
おいしそうに食べる笑顔 思い浮かべてうれしくて
ここで聞くのにぴったりの歌詞。耳はいつのまにか「聞く」から「聴く」へ。
♪板橋の上から見る 満開の桜たちは
板橋が舞台? ひょっとして……?
♪マルジューの温かさを すこしでもあなたに伝えたい
なんと! マルジューの歌だった!!
一般的に、企業や店のオリジナル曲は商品名をゴリ押しで連呼するなど、曲として「なってない」ものが多い。その点、これは例外的なよい曲だと感じだ。歌詞のなかに「マルジュー」が出てくるのも2回だけだし。
「さりげなさと質の高さがマルジューのパンみたいだ」と思ったときに電話が鳴った。諦め半分で紛失届けを出した財布が見つかった、という警察からの連絡。
その後もマルジューに何度か行ったが、あの曲が流れるときもあれば、聴けないときもあった。一定の時間でローテーションしているのではないようだ。
後日、この曲を聴けた日に、再びささやかな「いいこと」が起きた。
そんなわけで、タハラはこの曲を『しあわせのパンのうた』と呼ばせてもらっている。
曲を聴いてみたい方は → こちらのページの動画をどうぞ
※価格はすべて税込みです
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『マルジュー大山本店』
ホームページ → こちら
住所:東京都板橋区大山町5-11
グーグルマップ → こちらのX
最寄り駅:東武東上線『大山』駅
南口改札のほぼ正面 徒歩0分
電話:03-5917-0141
営業時間:7時~22時(イートインは21時まで)
定休日:年中無休
イートイン:80席(分煙の喫煙室14席)
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【■028 取材日:2015年3月13日】
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