食べ放題のみ! の江戸前寿司店、東京都江東区南砂の『喜代寿し』を紹介する。
「寿司の食べ放題」と聞いたときに多くの人が想像するレベルを、か~るく飛び越えている店だ。(人気爆発中につき予約がお勧め!)
喜代寿しのシステムは、こんな感じ。
・寿司種が印刷してある注文票に食べたい数を書き込む。「最初にこのセットを食べてから」なんてみみっちい縛りなどない。
・時間制限なし。
・値段は驚愕の1800円!(税別) 2歳までは無料、3歳から9歳は半額の900円だ。それなのに『うに』や『いくら』などの原価が張る寿司種もあるし、なにより年季の入った職人が握る「本物」を味わえる。
▲「定休日 無休」って!(現在の閉店時間は午前2時、2016年6月より毎週水曜日が定休日に)
▲注文は短冊状の注文票に数字を書くだけ。『とろ』の文字も見える
▲季節のおすすめ品はホワイトボードに
■「寿司ナイト」へようこそ
回転寿司よりも割安な食べ放題、その実力は? 飢えた「寿司腹」を抱えた10人のグループで押しかけた。
▲『まぐろ』『サーモン』『とろあぶり』。しゃりの米粒がつぶれることなく、ふっくらと空気を含んでいるのがわかるだろうか?
人数にもよるが、大皿に15~25貫が載って提供される。時間制限がないため、つぎの注文が来るまでに食べたお寿司が消化され、ふだんよりたくさん食べてしまったような……。
▲10人で大皿19枚のお寿司、ひとり平均で約40貫を胃袋に収めた。注文していないアラ汁も。なのに2000円でお釣りが!
季節によって変わるが、冬の人気ベストスリーは『とろ』『うに』『いくら』だそう。「味付けの手間がかかるので、『うに』よりも『かんぴょう巻』を注文されるほうがたいへん」と、こっそり教えてくれた。
■ご主人・佐枝賢一さんにうかがった
佐枝さんは2004(平成16)年に喜代寿しを開き、寿司屋の大将となった。今年が13年目だ。この店の寿司職人は大将ただひとり。それで40人も入るお店で食べ放題の注文に対応しているのだから、鉄腕職人と言えよう。
「食べ放題だけにしたのは去年の6月からで、まだ半年ちょっと。以前は予約のお客さん限定で食べ放題をやってました」(佐枝さん)。
当時は2000円、3500円、4500円の3つのランクがあったという。さらに安い1800円均一の食べ放題オンリーの店にした理由は「金額の上限を決めることで、お客さんに安心して寿司を楽しんでほしいから」だそう。
とはいえ、この安さで経営は心配ないのか? と、おせっかいな疑問が残る。ここのお寿司、とても「回転寿司より安い」とは思えない水準なのだから。
質問すると「損はしてないですよ」と軽く答える。金額の上限を決めれば扱う寿司種のランクも決まってくるが、大将にとっては「設定した金額のなかでどれだけ満足してもらえるか、いかに『安い』!と思ってもらうか」という永遠のテーマに挑むのが楽しいようだ。
いちばん多く食べた人は何貫? と聞くと「数えてないけど、つかった酢飯だけで2升ぶん食べた人が」だって。ちなみに毎日炊くお米は6升くらいだそう。米は産地や銘柄を特定せず、米屋さんと相談して「酢飯に向くそのときいちばんリーズナブルな米」を選んでいるそうだ。
多くのお客さんが、最初はお腹を空かせて「食べるぞ!」とやって来るが、何度か足を運ぶうちに「好きなものを食べたいだけつまんでさっと帰る」という粋なスタイルに変わっていくらしい。時間無制限なのに30分で帰るなんて、かっこいい。なんだか童話の『北風と太陽』を思わせる話だ。
それにしても、職人さんがひとりだと腱鞘炎になったりしませんか?
「ないない」と笑いながら即答。「独立する前にいたのが築地場内の◯◯なんだけど、当時と比べたらずいぶん楽ですよ」と、たいへんな有名店の名前が出た。3時間待ちが当たり前の、おそらく築地ナンバー1の人気を誇る店だ。道理で「江戸前の筋金」がビシっと通ってるわけだ。
▲身の締まった『たい』はいまの季節のおすすめ。煮切り(醤油ベースの調味料)が塗ってある江戸前仕様だ
▲『えび』はバナメイエビやブラックタイガー。串を打ってきっちり仕事がしてある
▲名物『ガリの握り』。何度もガリをおかわりするするお客さんを見て「ガリでお金をいただく方法はないか」と編み出したのがこれ。大葉とのバランスが絶妙な「発明品」である
▲どの面にも焦げ目のない黄色い卵焼きは江戸前寿司の大切な基本だ
その手は仕込みのために動かしながら、大将がいろいろと話をしてくれた。感心したり驚いたりしながら、地域編集長・タハラの感想は最初に戻る。
「その値段、やっぱりおかしいだろ!」
▲外観
▲店内。カウンターの角にあるCDタワーの大半が『聖飢魔II』
※料金は税別です
グーグルマップ → こちらの i(小文字・ピンク色)
■079 取材日:2016年2月4日
(予約をお勧めします)
住所:東京都江東区南砂3-4-10
最寄り駅:地下鉄東西線『南砂町』駅 b2出口から徒歩約10分
電話:050-5787-1538
営業時間:17:30~26:00
定休日:水曜日
カウンター7席 座敷席6卓(約30席)
喫煙可
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