□『鶏白湯らあめん醤油』(680円)□
東京都板橋区上板橋のラーメン店『らあめん こそっと』(以下『こそっと』)を紹介する。
■1枚の写真に呼ばれて
時間を3月に巻き戻させていただく。その夜、板橋区の地域編集長・タハラはPCのモニターを見て声を上げて笑っていた。こんな画像に出くわしたせいだ。
▲小学校1年生の国語ドリルだろうか
「上をつかって、文をつくりましょう」という課題に「上いたばしにあるらあめんこそとにきてください」と答えている。「こそと?」と首をかしげながら凝視すると、「そ」と「と」のあいだに、それこそこそっと「っ」が。おお、聞いたことがあるぞ、『らあめん こそっと』!
「おいしいよ」ではなく「きてください」なのは、お店のお子さんだからか。ノートのマス目をはみ出してまで先生に営業をかける熱意もすごい。
ひとしきり笑ったあと、こう思った。「?」と戸惑う先生に代わって、タハラが行きましょう!
▲商店街からはずれた住宅地
『こそっと』は住宅地にこっそり、ひっそり、ひそかに、静かに佇んでいた。「ほんとにこの道でいいの?」と不安を感じたとき、それらしき店が見えてきた。
▲看板のセンス!
白い看板に「らあめん」。その下に、近づかないと読めない小ささで「こそっと」。
▲券売機
らあめん・台湾・つけめんの3系統があるようだ。
▲左上の計
蜀の軍師・諸葛孔明は「店の力量は左上の釦で計れ」と言った……って話は知らないが、『鶏白湯らあめん醤油』(680円)に決めた。
▲サービス屋台
券売機の近くに『サービス屋台』と書かれた一角が。調味料コーナーだ。
柚子胡椒、花山椒、あま醤油、特製ブレンド魚粉……なかなかディープなセレクト。これほどの調味料が揃っていると、かえって「どのような味付けをするのもお客さんの自由。でも、まずはそのままで食べてみて」と言われている気がする。
さりげなく生玉子が置かれている点にも注目したい。
■口中の養鶏場
カウンター席に腰掛ける。調理場に大黒様が!? と思ったが、『こそっと』のご主人・竹崎弘敏さんだった。福相の持ち主でありながら腕っ節が強そうだ。ここで「ご主人が強そうな店はうまい」という『板橋区の法則1』を思い出し、ラーメンに期待が高まる。
▲『鶏白湯らあめん醤油』(680円)
見るからにうまそう。炙り・ノーマル・鶏と、チャーシューが3種類。これで680円は安い。
スープをひと口すする。ん! 誰だ、ひとの口の中で鶏を放し飼いにしたのは! と言いたくなるほど「鶏エキス」が濃い。でもくどさは、ない。これは……うまい。こそっとではなく、真正面からうまい。
▲こういうの、麺リフトって言うんでしょ?
鶏の羽ばたきが収まると、様々な旨味が色合いを変えながら訪れる。こんなラーメンは初めてだ。
▲こっちはメンマリフト!
穂先メンマは20センチを超す長さ。メニューに『メンマらあめん』がないのが不思議。
■原点は屋台
▲竹崎さんのお父さんが40年まえに引いていた屋台……じゃなくて4年前の写真です(元の写真はカラー) 『ど根性ガエル』のヒットを予言していた?
竹崎さんは京都の出身で、前職はなんと美容師。勤務先が東京に進出した際に上京されたそうだ。
元来のラーメン好きが昂じて、美容師と兼業でラーメン屋台を引く生活を続け、2013年に現在の場所で、鰻屋だった物件を居抜きで利用して開店。和風な内装がぴったりだ。
今回の『鶏白湯らあめん醤油』は、複雑な味がよくまとまっていることに驚いた。「こそっとトリュフオイルもつかってます」(竹崎さん)と教えてくれたが、おいしさの秘密は底が深そうだ。
■取材後記
飲食店の記事を書く際、タハラは(知っている店であっても)味を確かめてから取材を申し込む。初めての店で取材の申請をする場合でも、「食べたあと」と決めている。ところが『こそっと』に関しては、仕込み中に押しかけて「一度だけ食べて、本音の記事を書きたい」とお願いしてしまった。「どうぞどうぞ」と快諾してくれた竹崎さん、男だねえ。
▲左から竹崎弘敏さん、名コピーライターの志歩ちゃん、奥さんの裕美子さん
志歩ちゃん、クールな顔して指2本で笑いを取りにきた。将来が楽しみ。
※価格は税込みです
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『らあめん こそっと』
▲店内(ワイド撮影)
住所:東京都板橋区上板橋3-9-4
グーグルマップ → こちらの i(小文字のアイ)
最寄り駅:東武東上線『上板橋』駅
北口出口から約320メートル 徒歩約4分
営業時間:火曜日から金曜日
11時45分から14時
18時から21時
土・日曜日
11時45分から14時
定休日:月曜日
席数:カウンター 6席
テーブル 6席
※禁煙(店外に灰皿あり)
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【■040 取材日:2015.4.22】
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