□国内産の新茶葉と宇治抹茶を封じ込めた『千利氷』□
東京都板橋区大山町の『お休み処 お茶の大山園』(以下『大山園』)で9月いっぱいまで楽しめる特別なかき氷を紹介する。
この店でつかわれているのは、お茶とイチゴ、それぞれの素材の「香りと味のピーク」を封じ込めた特殊な氷、その名は『千利氷(せんりひょう)』。東京都内で『千利氷』を体験できるのは『大山園』だけ!
■『宇治金時』(600円)
国内産の新茶と宇治抹茶の割合が絶妙なかき氷に、白玉と金時(あずき)が寄り添う。甘みを加えたい人は『大山園』が独自に配合し、注文ごとに抹茶を点てる『抹茶シロップ』をどうぞ。食後のほうじ茶がまたうれしい。
▲『千利氷』をかき氷器にセット。ひとつの氷塊から約12杯のかき氷ができる
▲この時点でバランス最高
▲まさしく「食べるお茶」。いたばしまーす!
▲食べ終えた器に残るのは甘い『お薄』。これが甘露か?
■『苺(イチゴ)氷』(500円)
イチゴはもちろんのこと、お茶だって生鮮食品なのだ。食材の鮮度を維持するには冷凍が効果的だが、「解凍が難しい」という短所もある。これがかき氷となると、解凍=調理だから完璧な「旬の復元」が可能となる。素材の風味をまるごといただくという点で理想的な方法と言えるだろう。
▲イチゴ版『千利氷』。高知県産イチゴの「旬」のタイムカプセル
▲黒糖シロップとほうじ茶がベストマッチ。氷には練乳がかけられているが。「なしで」とリクエストすることもできる
■さらば『アイスクリーム頭痛』
板橋区の地域編集長・タハラは冷たいものが好きなくせに、食べると頭が痛くなる。かき氷なんて、いちばん危険な食べ物だ。ところが『千利氷』のかき氷では、頭痛(医学用語で『アイスクリーム頭痛』と呼ぶらしい)の気配すらなかった。
その秘密は氷の細かさにあるようだ。一般的なかき氷と比べると『大山園』のものは氷の粒が細かく、温度が低すぎない。『アイスクリーム頭痛』の原因である「口の中や食道の急激な温度下降」が起きないから頭が痛くならないってわけだ。
一般的なかき氷の温度はマイナス7℃くらいだそうだ。では『大山園』は? と思って測定させていただいた。結果、かき氷の表面が(プラス)1℃で、中がマイナス0.5℃。この6~8℃のちがいで頭痛がしなくなるなんて、不思議。ちなみにお店の室温は25℃、保存用の冷凍庫内はマイナス15℃だった。
▲赤外線温度測定器(左)と水温計(右)で測定した
■3代目・小原宜義さんにうかがった
『大山園』の創業は1951(昭和26)年で、今年が64年目。おじいさん、お父さんから代替わりして、現在は3代目の小原宜義さんが中心となってお店を切り盛りしている。元々は、そして現在も「よいお茶をおいしく飲んでもらう」ためのお茶屋さんなのだが、2年前にお店を改築した際に喫茶スペースを設け、いまでは「町のお休み処」として親しまれている。
▲接写すると雪洞に迷い込んだよう
この店のかき氷は、はやりの「ふわふわで淡雪のように溶ける」ものとはちょいとちがう。「氷」をわずかに感じさせる、しゃきしゃき、さくさく(ただしカタカナではなくひらがな)した感覚。幼い日に初霜を踏んで遊んだ記憶を、舌と歯で穏やかに思い出しているかのようだ。
「それは、お茶の味を活かすための削り方によるものです」と小原さんが教えてくれた。「削り方が荒いと、お茶の苦味が出てしまうんです。香りが口の中で立つような細かさに調整しているんですよ」
なるほど、さすがはお茶のエキスパート!
▲日本茶アドバイザーの資格を持つ小原さんは『茶審査技術』六段のエキスパートだ。お店では、お茶のよさを知ってもらうための『日本茶サロン』も開催している(詳細はホームページ)
■秋にこそ味わいたい
かき氷はいつまで? の問いに「9月いっぱいまではお出しすると決めています」と小原さん。『千利氷』には繊細な温度管理が欠かせないので、冬になってしまうと暖房との兼ね合いが難しいようだ。
真夏の太陽の下ならどんなかき氷だっておいしく感じるものだが、暑さが去った9月こそ「味と香り」をしっかりと楽しみたい。いまが『大山園』の真価が感じ取れる最高の時。この店でしか体験できないかき氷を、さあ!
▲3代目の小原宜義さんと2代目の貢久さん
(価格は税込みです)
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『お休み処 お茶の大山園』
お店のページ → こちら
▲外観
▲飲食カウンター
住所 東京都板橋区大山町6-8
グーグルマップ こちらのb(小文字・ピンク色)
最寄り駅 東武東上線『大山』駅南口から徒歩約2分
電話 03-3956-0471
定休日 火曜日に休業することがあります
営業時間 10時から20時(火曜日は11時から19時30分)
喫茶スペースは10時30分から20時(火曜日は11時から19時)
(L.O.19時30分)
席数 7席
※禁煙
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【■070 取材日:2015.8.25】
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